おためになりません(02.07.07) 96

まあ既に語り尽くされている話題ではあるが、油断すると財布を理不尽に埋めていくのが各種会員カードや割引券である。スタンプを50個ためると1000円とか、次回ご来店の際50円引き、とかああいう奴である。私はそういうアイテムがかなり嫌いなほうで、そういうサービスをやる店は行きたくない指数が上がる。「最初から値引けよ」とかそういうことより、単純に財布の中が圧迫されるのが気に入らない。まあ、正直なところサービスだとは思っていない。いくぶん迷惑な広告活動だと考えている。

特に、次回50円引きのようなチケットに対しては悪意すら抱いている。もらったその場で破りたい衝動をおさえつつポケットにねじ込み、いずれ捨てることになる。「使わないとなんだか損したような気がする」という感覚はあまりない。

逆に、それでも通っているお店というのはかなり評価が高いので安心して良いです。って誰に言っているのか。

まあそんな態度を通しているため、私の財布にはあまりそのたぐいのものははいっていない。レンタルビデオも借りないし、その他の会員証もあんまりない。クレジットカード、キャッシュカード、免許証と数枚、といったオーダーである。その数枚も、なければないであまり困らない。一枚を除いて。

だがしかし。その一枚があるのだ。PC家電量販店とでも言えばいいのか。そういう店舗のポイントカードである。量販店でポイントカードを提示して買い物をすると最低10%、下手をすると20%ものポイントとやらがついてくる。しかも家電あるいはPC用品は単価が大きい。一回の買い物で簡単に5000円とか10000円といったポイントが発生してしまうのだ。1ポイントは1円で、次の買い物で使えてしまう。

このポイントを「めんどうだ」と言う理由で却下することは出来ない。古書店やCD屋の30000円買って1500円、というのとはスケールが違う。こちらは短くても3ヶ月で1500円。だが、家電は1日で10000円、である。さすがにこのシステムを拒否するには店を変えるしかない。

だがしかし、腹立たしいことに、そこそこ品揃えがあって便利な店舗には必ずカードがついてまわる。残念ながら、そういうカードのない、かつ魅力的なお店はみつけられていない。

そんなわけで、仕方なくカードを持って買い物をする。そういう「したかなく感」のつよい私としては、ポイントをためるなんて言語道断で、いつカードを廃棄しても言いようにポイントはもう速攻で使う。レジ精算を2回に分けて使う覚悟も辞さないほどである。

しかしそこにも罠はある。レジを打つ店員は「ポイントをおためになりますか?」ときいてくる。ためるのがデフォルトで、「どうされますか」ではない。しかも忙しいと店員は、回答を耳に入れずに「ためる」前提でレジ打ちをすることがある。

「ポイントを使います」は大きな声ではっきりといいましょう。ええ、舌打ちすらする店員も居ますがね。

ここまででも結構我慢しているのだが、この手のカードはつくるときはやけに簡単なのに、再発行するときはやけに厳しい。カードを紛失した友人につきあったことがあるのだが、さけずむような目つきでこちらをにらみ、「再発行に○円かかります」と吐き捨てるように言われていた。

それはまあ、カードをなくすのは馬鹿である。それをみとめるのにはやぶさかではない。だがしかし。もしかしたら盗難されたとか、火事で焼けてしまったとか、そういう事情だったのかもしれないではないか。その友人がどのように無くしたのかはおいておくとしても。なにより、買う気もないのにむちゃな質問で店員をいじめる客にむける愛想をちょっとくらいはこちらに向けてくれても良いのではないか。

まあ結局、年間100万円程度の買い物をする客がひとりある量販店から消えたわけだが、しかし店舗にしてみてはたかだかノートPC4、5台分である。そう考えると、量販店にけんかを売るのは分が悪いよなあ、とはつくづく思う。だからまあ、仕方なく量販店とのつきあいは続いている。

不満をつらつらと書いてきたが、商売としてはポイントカードはものすごく有効だ。みんながみんな私ほどの憎悪を抱くわけではないし、むしろ好感をいだく客のほうがおおいだろう。

それにもまして大きいのは、ほぼすべての購入履歴を、客単位で常につかめるのだ。消耗品の購入間隔といったちいさなデータから、年単位の消費傾向まで出せる。これは販売上非常に有益なデータであろう。

それを認めるのにはやぶさかではないから、ラビットカードというか、キャッシュカードでもクレジットカードでも良いから、早いうちにそれをもって会員認証してくれないかな、というのがささやかな願いである。


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