第72回「タブラ・ラサ」(2001.06.30)

最近はどうもネタ雑文にこだわるあまり、初期のような気楽な文章が書けない。いっそのことたわいもない文章をでも書いてやれ、というのがこの文章なのであまり期待しないように。

日記をざっと見てもらえばおわかりいただけるかと思うが、私は活字中毒者だ。だが、購入冊数からいけば漫画中毒者といった方が正しいかもしれない。いや、読書時間や投資金額では良い勝負か、むしろ活字のほうが上回るか。

活字中毒者としては私は間違いなく中途半端な層で、マイナーな領域にはほとんど踏み込んでいないのが最大の弱みだ。大学生の頃、あるいはその前の購入ペースであればともかく、現在の購入ペースでは量の上でもちょっと厳しい。一年ぶりに漫画データベースを更新してみたところ、この間におおよそ漫画を500冊くらい購入しているらしい。一方、活字はデータベースを作っていないが、3日に1冊――として70冊くらいか。

過去の経験から言って、どうも「本を買う人間」と「買わない人間」には果てしない溝があるらしく、このデータを見せると、買わない人間には常軌を逸して見えるし、買う人間にとっては中途半端に見えるらしい。いや、べつに読みたい本を素直に買っているだけなので、どう見られてもかまわないんだけど。

どうしても問題になるのが、「本が捨てられない」という性格だ。ダンボールにつっこんで保存する、という状態で良ければ幸い置き場所は何とかなるのだが、ある程度取り出しやすくしようとすると結局本棚を増やすしかない。

家には本棚が山ほどあるが、中でも今年つくってもらった、居間の壁一面に作りつけた本棚は極悪だな。何せ、本をいっぱいにつめても中身より高いはず。随分と馬鹿な投資をしちゃったな、と思わないでもないが、立派な本棚がある、というのはかなり嬉しく、大工さんに作ってもらったときには思わずにやけてしまったものだ。

だが、ここまでくると「本」の中身が好きなんじゃなくて、「本」というモノ自体が好きなんじゃないかという疑問が自分でも浮かんでしまう。売ることができないだけではなくて、図書館で借りるという習慣がなくなったしまったし。新刊書店では見つけることが難しいけれど、図書館にはあることが期待できる本はたくさんあるのだが。が、しかし。初版本には興味がないし、買った本は必ず読むので、一線は越えていないと信じたい。

いやはや、こういう書いた本人にしか意味のない技巧(しかも前例がある)文はどうしても自己満足に終わってしまうな。


何か前にも書いたらしい インデックスへ 変なことをまた書いた