第43回「昼下がりの街角で」

 とんでもないものを見てしまった。当選したドリームジャンボである。といっても、1等とかそういう派手なものではない。5万円、というささやかな金額である。連番でかってあった宝くじをチェックしていました。とりあえず組を確認して1等はないことを調べてから、あらためて下2〜4桁目で確認。2セットはあっさりとはずれて、最後。「075…」と思いつつ新聞の数字の羅列をたどっていきます。4等のところに "0"があるな、と認識した瞬間、"0752"という数字が目に入りました。ぼーっとした頭で宝くじのはいった袋を破ります(まだ連番の袋をあけていませんでした)。目的の1枚を抜き出し、じっくり眺めます。"0752"。たしかにありました。当たるときは当たるものですねえ。

 さて、算数の時間です。脈略はありません。今回の4等5万円として戻ってくるのは、1万分の4かける5万円、で20円です。

1等と前後賞は500万分の1かける3億円で60円。
組違い賞は10万分の1かける10万円でたったの1円。
2等は1000万分の5かける1000万円でわずか5円。
3等は100万分の5かける100万円でやっぱり5円。
4等はさっきのとおり20円。
5等は1000分の2かける1万円で20円。
6等は10分の1かける300円で30円。

 そんなわけで、1枚300円に対して合計141円が返ってきます。47%が戻ってくる、ということですね。実にそのうちの40%が一等と前後賞です。総売上の20%、宝くじ売場のおばちゃんの給料の合計よりずっと大きい金額です。1等以外の当たりを全部なくしても、1等の当選番号は2つが5つになるだけです。いやあ、やっぱり3億円というのは凄い金額ですね。はい。

 さて、この47%という還元率はどの程度のものかといいますと。まず、競馬よりはかなり悪い。競馬は(私の記憶が確かならば)65%も戻ってきます。単勝なら5%増えて70%も戻ってきます。手間の割に宝くじというのは胴元がたくさん持っていきます。といっても、日本の宝くじは例外的に還元率が低いのですが。アメリカのロトくじの場合。週ごとに微妙に違いますが、 55%〜60%程度です。ラスベガスのカジノはもっと凄い。ルーレットなんかは0と00があっても95%近く戻ってきます。いかさまがなければ。カジノでは一番還元率が低いと言われるスロットマシンだって、70%くらいもどってくるといわれています。

 さてでも。「ぼったくり」としての宝くじにも、上には上があります。中国の宝くじなんかは凄かったです。じつに還元率1%。99%はもって行かれたんです(現在の中国の宝くじについては知りません)。ま、大昔の日本の富くじもそんなものだったのですが。

 さてまあ、とりあえず当たったのは嬉しい。とんでもなく嬉しい、と言う気分になるほどの金額ではないのだが。そんなわけで、会社の昼休み、いそいそと宝くじ売場に出かけていきました。時は1時過ぎ、街角にある宝くじ売りのおばちゃんのところに行きました。

 ああ、なんてことでしょう。
「5万円はね、ここでは換金できないの」

 今頃は財布の中に5万円、という喜ばしい環境ができあがるはずだったのに、あいかわらず紙切れ1枚が鎮座しています。
全国自治宝くじ大393回ユニット27、58組140752と書いてある紙切れです。他に紙なんてありませんありませんとも。しくしくしくしく。

 宝くじの裏に書いてありました。
「(3)10,000円を超える当選金は、もよりの第一勧銀銀行本支店でお受け取りください。ただし、5万円マークのある売場では、50,000円以下の当選金をその場でお受け取りになれます

 説明の右には噂の5万円マークが輝いています。初めて知りました。つまり、5万円マークを求めてさまよい歩くか、第一勧銀に行け、と。第一勧銀に日中出かけるのはかなりむずかしいんですが。そもそも第一勧銀なんていったことありません。さらにさらに、5万円マークのある宝くじ売場なんてどうやって調べたらよいのでしょうか。5枚の1万円札に出会えるのはいつになるのでしょうか。どうか教えてください。

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この雑文は、補陀落通信の雑文祭の趣旨に従っています。 「昼下がりの雑文祭」)