第42回「それは夕立のように」(99.05.31)

 それはいつもいきなりやってくる。

 ハルシオンを飲んで、30分も経った頃だろうか。すとん、と眠りにはいる。眠くなったな、と感じる前に寝ているのだ。不眠気味の私にとっては非常にありがたい薬である。

 アルコールと一緒に嚥下してラリる、というまちがった使い道が世間には流布しているが、これは非常に安全な睡眠薬なのだ。しかも、睡眠薬で眠った場合、かなり深く眠ることができる。だから、疲れ切っているときの「眠っても、眠っても、まだ眠い」という悲しい状態にならずに、すっきりと目覚めることができるのだ。すばらしい。

 そんなわけで、結構な頻度で愛用している。

 ただし、本当に深く眠れる薬なのかというのは微妙なところで、本来この薬は、「睡眠導入剤」であって、効果は2〜3時間で完璧に切れてしまう。それでも、すっきり起きられるのだからよしとしよう。時には、6時間くらいの睡眠で気持ちよく目覚めて、朝、WEB巡回をすることもある。

 そんな日は、ちょっとうれしい。

 彼女もいつもいきなりやってくる。

 眠りについて、9時間もたった頃だろうか。どすん、とのしかかる。誰か来たかな、と感じる前につぶされているのだ。人付き合いの悪い私にとってはありがたい気もする来訪である。

 彼女が朝に来る、というだけで過剰に反応する間違った考え方が世間には流布しているが、彼女といっても本当に単なる友人なのだ。だから、寝ぼけた頭で「ふやあ?」などという悲しくも情けない言葉を発しつつ、何となく目覚めることになるのだ。どこかもの悲しい。

 しかも、こんなことが結構な頻度である。

 ただし、彼女の起こし方がまっとうなのかどうかは微妙なところで、彼女の来訪は、「強制目覚まし時計」のようなものであって、2〜3分間呼吸困難になる。それでも、1日が有効に使えることになるのだからよしとしよう。時には、コンビニによってきてくれて、朝、コーヒーを入れてくれることもある。

 そんなのも、ちょっとわるくない。

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