ぼくの地球を守って(日渡早紀)

 白泉社花とゆめコミックス全21巻。画集も3冊出ています。

 月での前世の記憶を残したまま転生した7人の物語。と書いてしまうと身もふたもないなあ。「生まれる前の思い」「生まれる前の行為への贖罪」といった考えは現実にはとりあえず僕には存在しません。それでも、まさに「宿命」としかいいようがない「前世の記憶」の中で思いさまよう登場人物の迷い、悩み、そして希望は深い感動を与えてくれます。

 こういう書き方をするのもなんですが、子供に深い宿命を与える、というのは技だな、と思います。「子供に気障な台詞をはかせて自然な状況」と日渡さんはいっておりましたが、うん、見事に成功しています。

 どこのシーンが好き、かというと、なんか全部好きだな。ひとつだけ挙げてみると、銀のエピソードはきつめのストーリーの中で、本当に安心するな。一番好きなシーンはストーリーの核心に触れるので、ここでは書かないでおきます。是非知らないまま読んでほしい。

 漫画を読んだ上でないと話が分かりませんが、漫画が気に入った人にはOVAは必見もののできの良さ。最初に僕はNHKの衛星放送で見ました。コミックス上で作者が絶賛するとおり、声優、映像、いずれも素晴らしいと思います。ただ残念なのは、全6巻という制約の中、最後まで話が終わらなかったんだよなあ。はっきりいってしまえば、6巻は名シーンダイジェスト。それでも、是非見てほしい珠玉の逸品。

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