福本信之

 ギャンブルでのかけひき、心理を正面から描いた漫画がすばらしい。今までになかった視点。

 いままでこういう作品がなかったこと自体が不思議。「ギャンブルにおける心理」ということを正面切ってテーマにした作品自体、ほとんどなかったのではないか。「麻雀漫画」というジャンルまでありながら。

 麻雀漫画ですが、麻雀なんて知らなくてもいいです。本当に面白い漫画です。ばくち打ちの心、というものが見事に描かれています。この漫画では、登場人物それぞれに強さがあり、まあ、あえていうなら一流の剣士の果たし合い、みたいな趣がある。

 原稿執筆時点では2人麻雀やってます。これはテンションが続かない、とおもってるんだけど、それでもけっこう裏切ってくれるので期待している。

アカギ

 賭け事の狂気、というものをこんなに見事に見せてくれる漫画は他にありません。「アカギという天才」を主人公とすることで、必然的に話は、天才の赤木に対し、「負ける相手」が対抗することになる。そういう意味で、「天」よりも「賭事の狂気」が際だって感じられる。

 現在の勝負、血液をかけた麻雀は、ひきが長すぎ。さいきんのこの人の漫画は、その傾向が強いと思う。何かのインタビューで、「最近は3ヶ月先を見て書いている」と言っていたけど、どうも裏目に出ている気がするなあ。

カイジ

 媒体が一般紙。主人公がプロではない一般人。ギャンブルの相手も同様。ただし、胴元はプロ。と、当然そこに描かれる心理は違う物になる。「弱さ」、「欲」だのが特にクローズアップされることになる。つまり、「自己との葛藤」が描かれるわけだ。

 5巻までのテーマは、「カード限定ジャンケン」。いかにも心理戦が繰り広げられそうなこの戦い、あとはまあ、本物を読みましょう。

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