ライジング!(原作・氷室冴子、絵・藤田和子)

 小学館フラワーコミックス、全15巻。ワイド版で全7巻。97年現在、入手は大変。

 仁科祐貴を主人公とする、宝塚をモデルとした演劇もの。かの名作「ガラスの仮面」と違ってこっちの方が現実的な話かな。

 前半はいわゆるスポ魂ものに近いノリがあるんだけど、その陰で「主役を張る役者はキャラクター自身の魅力が無いとどうしょうもない」という事実が残酷なまでにはっきり描かれていて、けっこう衝撃的でした。

 後半はやっぱり役者は演技力も必要だ、という話になるわけですが、こちらはまさに王道をいく話の展開。実に気持ちよく読めます。

 あと、ポイントとなるのは劇中劇が充実していること。漫画の中で上演した演目は最後の1つを除いて作品中で上演してくれます。そのなかのひとつ「レディ・アンをさがして」は独立して文庫本(角川書店)になっています。なんか、生で演劇を見たい、という気分にさせてくれました(いや、結局見なかったんだけどさ)。

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