赤川次郎 

 最近はほとんど読まなくなりましたが。山ほど作品がありますが、どの本も安定して読めます。あの多作ぶりはやはりすごいと思います。とりあえず、安定した文体はここちよい。とくに、苦手というエッセイも、この高い文章レベルのためにさらっと面白く読めます。いっている内容はそれほどすごいとは思いませんけどね。

 こういう断定をするのは気が引けますが、思いつきということで書いてしまいます。赤川次郎のストーリーというのは、奥様向けワイドショーに近いものがあると思います。現実的でない事件、不倫というふたつの要素はかなりの作品に登場します。これって、ワイドショーの定番ネタですよね。うん。

 気に入っている作品は「三毛猫ホームズの推理」「ひまつぶしの殺人」「やりすごした殺人」かな。ひとつシリーズものの一つをとりあげてみました。97年現在、唯一買っているシリーズです。

「杉原爽香シリーズ」

 「色の名前」+「名詞」がタイトルのシリーズ。主人公、杉原爽香が15歳の時から始まり、1年に1冊、主人公も1歳ずつ年を取っていくストーリー。ひいき目もあるとは思うが、作者も力が入っていると思われる。現在、最新作では杉原爽香は23歳。25歳ごろまで続く予定。後2冊くらいですね。

 1年に1度という発行のスタイルによって、新刊ごとに登場人物に久しぶりに会った気になります。時間が連続しているわけではないので、微妙に環境も変わっていて、それが余計に疎遠になった知人の近況を知らされている感じもありますね。リアルタイムで読んでいるが故の醍醐味です。

 杉原爽香の性格のや行動は、年を取るにつれてあまり好みに合わなくなってきましたが(単にストーリーとして)、それは単なる言いがかりですね。最終的に、ある程度分かりやすいハッピーエンドがいいな。赤川次郎の小説はそちらの方が似合うと思うから。

 ごめん! ちょっと文句。読んでない人のためにぼかして書くけど、前作から、最新作「小豆色のテーブル」に続く展開。爽香がなぜああいう感情を持つのか? ということに「小説上のリアリティ」を感じなかった。現実にああいう感情があってもいいとは思うけど、すっきりしなかった。もひとつ。今回の「小豆色」。メインストーリーがちと関係なさ過ぎ。たぶん書き込みが足りないんだろうな。もう少し分量が必要だと思う。

 キーホルダー。25歳。うーん。終わってほしかったな、正直。そろそろけりをつけていいシリーズだと思います。つけないのであれば「絶対にやめない」べきでしょう。ま、私見ですが。(98.11)

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